北齋漫畫の予習&復習

観てきました。

とりあえず顔が良かった事だけお伝えします。

そして熱意が伝わってくる演目でした。

 

そんな顔がよくて熱意がある横山裕さんがファンに向けて度々言う「予習してきてね」

 

でも具体的に何を覚えていけばいいの?

 

となる方もいたりいなかったりするかなと思い、今回は観る前の予習と観た後の復習になりそうな事をざっくり箇条書きにしてみました。

*戯曲「北齋漫畫」はフィクションも混じっているので全て史実通りではない

*割と知らなくてもいい予備知識的なのもあります

*ネット知識の寄せ集めですがあしからず!

 

 

 

 

浮世絵とは

そもそも浮世絵ってなんなんだ

 

 

・風俗を描く風俗画でその題材は、美人画、役者絵、芝居絵、名所絵、春画といったものから多岐にわたる。

 

・肉筆画は一点ものだが、木版画が採用されてからは今で言うコピーが出来た。版元がいて、絵師、彫師、摺師というシステムで構成されていた

 

簡単に言うなら

版元(出版社)、絵師(イラストを描く人)、彫師(印刷する為のデータ作る人)、摺師(印刷業者)のような感じかな…?

 

・絵師(アートディレクター的な)である北斎はこだわりが強く、彫師や摺師にも無理難題とも言える要求をしていたよ

 

・浮世絵は庶民の娯楽作品とされてて、昔も現代日本でもまだまだ評価は高くない。昔も浮世絵師は伝統芸術師ほど尊敬はされていなかったけど人気はあって、今では重要な歴史史料になっている

 

・浮世絵は時代の息づかいを見事に絵に表現していて、庶民の請託娯楽を盛り込み溌剌とした江戸期の人生謳歌を描いていたそう

 

美人画や人気役者の春画は庶民が競って購入するところとなり、ファッショナブルで斬新なブームを巻き起こしていた

 

・斬新な切り口で絵を描き続けた北斎を生前から庶民や将軍さえも評価していたよ

 

・江戸期は階級制度によって厳しく規制され、既成の流派や画壇に属さない芸術家は皆「奇人」とされていた。北斎は、収入があっても金銭や権威に興味を持たなかったり、当時はタブーだったいろんな流派を渡り歩いたりと奇人を体現する人生だった

 

 

人物紹介 

 

葛飾北斎

 

1760年10月31日–1849年5月10日

没88歳(昔は数え年なので90歳)

 

〈ざっくり年表〉

 

 

4歳で幕府御用鏡師、中島伊勢の養子になる。

この頃から好んで写生をする

14歳で木彫り職人に弟子入り

19歳で当時有名だった役者絵師、勝川春章の元に入門

20歳で浮世絵の世界に登場するも、好奇心旺盛な性格から師の模倣以外にも内緒で狩野派や洋画を学び破門される

生活に窮し、唐辛子売りなどの副業をしつつも餓死しても絵の仕事はやり通してみせると、朝から晩まで筆をとった

30代で浮世絵画家とは一線を隠した独自様式で評判になるも、貧乏は続き北斎は自分の描きたい絵ではなく内職として手当たり次第色々な絵を描いた。

40代、挿絵や肉筆画、名所絵や戯画、美人画など多彩な表現を用い作品を発表していた

50代、代表作となる「北齋漫畫」を刊行

60代、富嶽三十六景など版画を連発、春画の名作「蛸と海女」もこの頃

70代〜晩年

 

北斎が最後に手がけたのは肉筆画で、当時の風俗ではなく、和漢の故事や宗教に基づく歴史画や物語画、あるいは動植物にモチーフを求めていた。また、独自の洋画風表現方法にチャレンジするなど、旺盛な制作意欲を持ち続けた

 

〈性格や逸話など〉

 

 

北斎は酒もタバコもしなかった

 

北斎は金銭に無頓着であり、生涯貧しかった

 

・身長が高い。180cmあったとされている

 

葛飾北斎の「葛飾」は、出生地である「すみだ」を含む地域が、武蔵国葛飾郡であったことからという一説

 

・改号(絵師としての名前を変える)こと30回、引っ越しすること93回。片付けるのが面倒で引っ越しを繰り返したといわれている(なおお金はずっとない)。100回を目標にしていたらしい。江戸は火事が多かった為、庶民の引っ越しは頻繁であったが、それでも北斎の引っ越しは多い。名前には「卍」なんてものも。

 

曲亭馬琴と仲が良く、挿絵なども書いていた。(馬琴の欄に詳細)

 

北斎も、晩年北斎と共に過ごした娘のお栄(後述)も生活能力は低く、自炊をしなかった。買ってきたものを食べゴミを放置していた為部屋が汚れるたびに引っ越しをしていたという

 

・代表作には富嶽三十六景や、春画(アダルティな絵)など。昔は享保の改革春画が取り締まられ絵師が逮捕されたりしたので裏でこっそり隠号を使って発表した。ペンネームは「鉄棒ぬらぬら」「紫色雁高」等

 

日蓮宗系の北辰妙見菩薩を信仰していた。日蓮宗は「何妙法蓮華経(なんみょうほうれんげきょう)」と題目を唱える。北斎の名前もここに関係している

 

北斎は行儀作法を好まず、そっけない態度を取る人だった。ただ横柄と言うわけではなく、形にこだわらないタイプ。気位が高く、富や権力でも動かないことがしばしば。

 

北斎は一生を通して画法を研究し、絵に対する情熱・向上心を持ち続けた。同じ人物が描いたと思えないほど多彩な手法を用いている。

70歳以前までに描いた絵は取るに足らないもので、73歳にしてようやく動植物の骨格や出生を悟ることができた。そして、80歳ではさらに成長し、90歳で絵の奥意を極め、100歳で神妙の域に到達し、百何十歳になれば1点1格が生きているようになるだろうと語っている。

 

・西洋に輸出された日本陶器の包装紙に『北斎漫画』が使われ、そのデッサンの秀逸さに驚嘆した仏人の版画家が画家仲間に教え、そこから空前のジャポニスム=日本ブームが広まったという

 

・当時の浮世絵師にとって風景はあくまでも人物の背景に過ぎなかったが、北斎はオランダの風景版画に感銘を受け、“風景そのもの”を味わうことを見出す

 

北斎は人の度肝を抜くことを楽しみにしていた節がある。縁日の余興で120畳(200平方メートル)の布にダルマを描いて人々を驚かせたり、小さな米一粒に雀2羽を描いてみせたり、クイズを画中に入れたり、果てには11代将軍家斉の御前で鶏の足の裏に朱肉を付け紙上を走らせ“紅葉なり”と言い放ったりと、やれることは全てやったという感じ

 

・70歳を過ぎて刊行された『富嶽三十六景』。これは50代前半に初めて旅に出た際に、各地から眺めた霊峰・富士にいたく感動し、その後何年も構図を練りに練って、あらゆる角度から富士を描き切ったもの。画中のどこに富士を配置すべきか計算し尽くされている。同時に、作中には富士の他にも庶民の生活が丁寧に描かれ、江戸っ子は富士と自分たちのツーショットに歓喜し、“北斎と言えば富士、富士と言えば北斎”と称賛した

 

・79歳の時には火災にあい、10代の頃から70年も描き溜めてきた全ての写生帳を失う悲劇に遭遇。この時北斎は一本の絵筆を握り締め「だが、わたしにはまだこの筆が残っている」と気丈に語ったという

 

・火災の教訓からか、北斎は自分が培った画法を後世の若い画家に伝える為、絵の具の使い方や遠近法についてまとめた『絵本彩色通』や手本集『初心画鑑』を描き残した。この時すでに87歳。童心に戻ってこどもとずっとお絵かきしてたエピソードもあるよ

 

嘉永2年4月18日(グレゴリオ暦では上記)、北斎は卒寿(90歳)にて臨終を迎えた。そのときの様子は次のように書き残されている。

 

翁 死に臨み大息し 天我をして十年の命を長らわしめば といい 暫くして更に言いて曰く

天我をして五年の命を保たしめば 真正の画工となるを得(う)べし と言吃りて死す

 

これは、「死を目前にした(北斎)翁は大きく息をして『天があと10年の間、命長らえることを私に許されたなら』と言い、しばらくしてさらに、『天があと5年の間、命保つことを私に許されたなら、必ずやまさに本物といえる画工になり得たであろう』と言いどもって死んだ」との意味である。

 

辞世の句は、

 

人魂で 行く気散(きさん)じや 夏野原

その意、「人魂になって夏の原っぱにでも気晴らしに出かけようか」というものであった。

 

(ほぼWikipediaより抜粋)

 

北斎の絵は生前から海外でも知られていた。ヨーロッパの印象派誕生のきっかけにもなっている。

 

・レオナルドダヴィンチも北斎の影響を受けたといい、北斎も常に自然に目を向け、的確に描き表していた

 

〈晩年の北斎宅〉

 

画像

http://www.photo-make.jp/hm_2/hokusai_kataku.html

北斎仮宅之図では、弟子が北斎の室内の状況を書いている。晩年の北斎はこたつ布団を被り畳の上で絵を描いている。杉戸には「画帳扇面お断り 三浦屋八右衛門」の貼り紙、柱にみかん箱を打ち付け仏壇としている。

 

〈副業唐辛子売りについて〉

 

唐辛子売りの仕事は独特で、全身真っ赤な服を着て6尺(約180cm)もある自分の体より大きなハリボテの唐辛子を背負って売り歩くのが特徴。 この巨大唐辛子のなかには小袋に入った粉唐辛子が入っていて、「とんとん唐辛子、ひりりと辛いが山椒の粉、すはすは辛いが胡椒の粉、七味唐辛子~」と言いながら売り歩くそう。

 

 

 

葛飾応為】 

かつしか-おうい

葛飾北斎の三女で、名前はお栄

 

〈人生〉

一度、南沢等明と結婚しているも、父親譲りの画才と性格から、等明の絵にダメ出しして笑った為離縁された。

北斎の所に出戻った後は、晩年の北斎と共に住み、作画や北斎の制作助手をした。

晩年は消息不明である。

 

〈人柄など〉

・応為の画号は、北斎が娘を「おーい、おーい」と呼んだのでそれをそのまま号にしたと言われている

 

・性格は父親に似てやや慎みに欠け、男のような気質で任侠風を好み、生活の貧しさを苦とする事はなかった

 

・絵の他にも占いに凝ったり、小さな豆人形を作り売りして小銭を儲けたりしていた

 

・応為は北斎と違って煙草と酒を嗜んだとされている

 

北斎の作品の中には、実は応為作、あるいは共作が相当数あると考えられている

 

 

・色の使い方が鮮やかで、美人画を得意とした

 

 

 

曲亭馬琴

 

1767年7月4日–1848年12月1日

 

滝沢馬琴などの名でも知られる。通称は佐七郎・瑣吉(さきち)など。

 

〈人生〉

旗本・松平信成の用人・滝沢運兵衛興義の5男として生まれた。

幼い頃より絵草紙などの文芸に親しみ7歳で俳句を詠んだ。

松平家を出た後、武家の渡り奉行を転々とした。

24歳の時に山東京伝を訪れ弟子入りを乞い、翌年に戯作者として出発。

その後、版元・蔦屋重三郎に見込まれ武士としての名を捨てた。

27歳の馬琴は蔦屋や京伝に勧められ、履物商「伊勢谷」を営む会田家の未亡人お百の婿となる。

しかし結婚は生活安定の為であり仕事には興味を示さなかった。義母の死後は履物商はやめ本格的に文筆行に打ち込んだ。

晩年には右目が見えなくなり、息子の妻のお路が口述筆記をしていた。

 

〈人柄など〉

・非常に几帳面で、規則正しい生活を送っていた。毎日はほぼ同じスケジュールで行動していた。

 

北斎は馬琴の作品に最も多く挿絵を描いた。2人はかなり親しく、北斎が馬琴宅に居候していた時期もある。馬琴はこだわりが強く、下絵の指示も厳しいものであった。しかし北斎は凝り性で自信家だった為、馬琴の指示には従わず2人はしばしば衝突した。

北斎は指示のない狐が現れたり、人物の場所を指定すると必ず反対側に描いたりした。

その為馬琴は、あえて描いて欲しい方と反対側に人物を描き、出来上がりを理想通りにするなどある程度北斎の扱い方を心得ていた。

 

喧嘩が絶えないようではあったが、馬琴は北斎の画力を認めており、馬琴の書簡には北斎を賞賛する記述も多くあった。

また北斎も馬琴を高く評価しており、お互いがお互いの居ないところで称え尊敬し合っていた。いわゆる似た者同士



 

 

↓↓↓さらに詳しくトピックス↓↓↓

 

 

 

🗻北齋トピ🗻

 

 

 

北斎の生きた時代】

 

 

・徳川家は約250年間にわたり国を治め、この間平和な時代が続き、鎖国政策が取られた。

海外に目を向けない日本人が多い中で北斎は早い段階から海外の画法にも興味を示していた

 

・18世紀中頃までに、江戸を新たな日本の都とした武士による幕府の統治はどんどん確立され、厳格な身分制度が確立し、日本のは主に4つの身分に分けられた。

 

身分制度の最上位に君臨していたのが特権階級、すなわち武士。武士に次ぐ身分を与えられたのが米を作る農民で、それに次ぐ身分を与えられたのが商品を作り出す職人であった。

最下位の身分を与えられたのが、商人や取引人であった。

 

・芸術家、遊女、および役者はこの社会の身分制度の外に置かれた。彼らは『非人』(人とは見なされない人々)と呼ばれた。

 

 

・18世紀末には多くの裕福な商人は、質素な生活を送るようになったが、やはり歌舞伎座遊郭などは、当時の人々を惹き付けてやまなかった

 

・日常から解き放たれたこうした『浮世』を監視する目的で、幕府は文学、版画、挿絵付き書物、俳句、歌舞伎座、服装、遊郭など、多彩な娯楽を規制する法律を適用した。

 

・特に、寛政期の政治家・松平定信が行った寛政の改革は、当時すでに弱体化傾向にあった徳川幕府の権威を復活させるために文化に対する厳しい検閲制度が実施された。

 

・そんな中でも理想的な女性美を追い求める町の男たちが、華やかな衣装に身を包んだ美しい女性の姿を描くよう浮世絵師たちにさかんに注文を出した。

 

 

・幕府による贅沢や芸術の規制が厳しくなる中でも、北齋は自分の追い求める理想を描き続けた

 

春画もたびたび出版禁止になっていた。享保の改革で好色本が禁止されたのを皮切りに、寛政の改革天保の改革と幕府による改革が行われるたびに発禁となり、店頭販売も自粛されました。しかし、そこはタフな江戸の人々。規制の目をかいくぐって制作を続け、貸本屋が各家を行商することで春画は楽しまれ続けた

 

・また、発禁になって表に出なかったからこそ、規制にとらわれない豪華な極彩色の作品もつくることができ、浮世絵技術をいかんなく発揮できる場となり、バラエティ豊かな春画世界が生まれることになった

 

北斎春画は特に色遣いが鮮やかだった

 

北斎と関係のあった絵師たち】

 

劇中に何人かババッと名前が出てくるので簡単にご紹介しておきます

六大浮世絵師と呼ばれているのが、鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿東洲斎写楽葛飾北斎歌川広重、です。

 

喜多川歌麿

 

歌麿美人画を描かせて並ぶものがいないと言われていた。大首絵と言われる半身から上のアップの美人画が多く、表情がわかりやすいと人気が出た

 

寛政の改革後も様々な表現そ模索していたが、1804年に風紀取締の処分を受け、その2年後にこの世を去った

 

東洲斎写楽

 

・僅か1年に140もの作品を残して姿を消した

 

・役者絵を描いていたが、顔の一部を誇張して描いていたせいでモデルの役者からは敬遠されていた

 

・しかし江戸庶民は誇張された役者の顔に親しみを感じ、絶大な人気を誇った。写楽に取り上げてもらえない役者は役者ではないとまで言われるほど

 

 

歌麿写楽の違いは「個性故の存在感」だった。最初は役者も歌麿に描いてもらうことを望み、写楽を敬遠していたが後には個性的に描く写楽に描いてもらうことを競ったという

 

歌川広重

 

東海道五十三次などの代表作がある

 

・役者絵や美人画から始めたが、師の没後は風景画を主に作成した

 

・青色の表現が美しく、ヒロシゲブルーと海外では高く評価されている

 

 

北斎と同じく西洋画から浮世絵に遠近法を取り入れた先駆者。立体感のある絵で人気を博した

 

・広重も北斎も風景画を描いていて、広重のものはどこが劇画チックだったり、北斎のものはデザイン化されていたりと、ただ風景を切り取るだけではなかった。その個性にあふれた作品で江戸の人々を楽しませていた

 

 

蔦屋重三郎


・江戸時代の版元(出版元)であり、多くの芸術家を世に送り出した。かねてより付き合いのあった狂歌師や絵師を集め、これまでにない斬新な企画を統括し洒落本や狂歌本などで多くのヒット作を生み出した


喜多川歌麿を世に送り、東洲斎写楽を育て、曲亭馬琴を見出すなど、才能を見極める目を持った人物だった


・2代目を継いだ勇助が北斎の「潮来絶句集」を出版するも、装丁が華美であると処罰を受けた



 

これから見られる方は難しいことは気にせずぜひ楽しんできてください!

セリフの言葉は昔の時代の言い回しが多いので、少し難しいかもしれませんが、疑問に思ったところは後からググりましょう!(雑)

 

 

 

 

 

↓↓↓↓↓以下ネタバレ有りの余談↓↓↓↓↓

 

 

 ネタバレ込みの余談と感想

 

 

 

・芸術が規制されまくってる世の中で自由に絵を描き続けた北斎の人柄が、周囲の絵師の批判や反骨精神というセリフに繋がったのかなと

 

・唐辛子売りの歌や米粒の二羽のすずめなんかは劇中にも登場したけど、お茶目で大変可愛い

 

・二幕で北斎が蛸と海女を描くときに話しているセリフは、実際に蛸と海女の絵の中にも書き写されている。(蛸と海女のWikiに載ってるよ!)

 

・晩年の家の様子は、北斎仮宅之図を忠実に再現していました

 

・お直や、応為と馬琴の関係などフィクションも多いけど、もし本当にそうだったら…みたいな感じで史実の逸話と繋がるようにうまく出来てるお話だな〜と思いました!馬琴と北斎のコンビはこの舞台でも史実でも仲良しで可愛い

 

 

 

〈参考にしたネットページ一覧〉

 

Wikipedia

https://edo-g.com/blog/2015/11/shunga.html/2

http://chushingura.biz/p_nihonsi/episodo/151_200/154_01.htm

https://www.wochikochi.jp/special/2011/10/hoksai-edo.php

http://www.tt.rim.or.jp/~haruto/ukiyoe/eshi/hokusai2.html

https://intojapanwaraku.com/jpart/1100/amp/

http://kajipon.sakura.ne.jp/kt/hokusai.html

 

 

ありがとうございました!

 

 

 

GR8EST 名古屋7/22 MCレポ(ネタバレなし)

 

  •  記憶を頼りに完璧正確ではないのであしからず!
  • 言い回しはニュアンスです

 

 〈MC〉

(曲終わりに)

「たっちょーん!」

「今日はたっちょんに捧げたな」

「どんな気持ちで歌ったらええねん」

 

ここでヤス君はける

メンバー「やすばいばい!!」

みんな水分補給タイム

「暑いね。汗かくしみんな着替え物販で買ったほうがいいよ!」

「おおめずらしいな!」

「どんな勧め方やねん」

「汗拭くタオルもね!」

「着替え入れるカバンもいるし」

「喉乾いたら水飲むようのマグカップも」

(一連の流れに対し)「…へたくそっ!」吐き捨てるように

「でも今日昨日より暑いみたいですね」

「ねっちゅーしょー(ひらがな発音)には気を付けて下さい」

「ねっちゅーしょー(ボソッ」←多分リサイタルネタ

誰か「今こんな暑くてこれからどうすんねやろ」

「9月とか10月とか…」

「いやそれは気温下がるやろ!!そこ心配せんでええねん!」

 

「恒例の昨日何してたか聞いときますか」横に向かって言う

「それ聞きたいですか?」

誰か「いやまぁ恒例やから」

「ほなおれちくるで!!」

急にまるを指さしてちくるで!いったるからな!を連発する横山さん

「えっ?」

「お前昨日夜なかめっちゃ叫んでたやろ!

メンバー(ああ~とかえっとか)

「…起きてたん?起きてたんやったら来てくれたらええのに~」

「いやいや大倉から聞いて全貌知ってるねんぞ!」

「俺被害者やで!」

「(大倉)昨日亮とこ行ってたんちゃうん?」

「いやラジオ終わってちょっと亮ちゃんと遊んだけど、その後部屋帰って飲み足りひんから一人で飲んでてん。そしたら丸から『ラジオお疲れ~。一杯だけやったら飲んでやってええぞ』ってめっちゃ上からでメール来てん!」

「ほんで『今から部屋帰るから待っとけ』って来て、まぁまぁ俺も飲んだろか~思ってしばらくしてから部屋行ったんですよ。行ったらもうべろっべろ!」

「見たことないくらい酔うてた。べろんべろんに仕上がってる。こいつやばいねん!ドアからソファまでの短い距離もう千鳥足やねん!(マネする大倉)」

「ほんで『おうお前一杯飲むか?座れ』って。そっからまぁなんかまじめな話になったんですよ。で『ラジオ聞いてたぞ』って。で俺ラジオでちょっと今回のツアーのこととか話してたから『聞いたぞお前。ええこと言うな。真面目やお前は。ええやつやな』って。で俺も丸もあったかい人やでとか言うてたんですけど『俺は……昨日のあの挨拶どうやったんやろ…』って」(反省会モードなってもうて)

「はじまった!」

「で俺が、いやそんなことないで、みんなでバランス取ってるんやからええねんってフォローしてんのにこいつ途中で寝てんねん!ほんでもう『ラジオ聞いたで~』とか全く違う話するから丸もう寝よう!って言って部屋出てんけど、ちょっと歩いてふと振り返ったらまるついてきてんねん!」

会場ちょっとざわつく

「ホラーやんけ!」

「俺それに遭遇してん!夜トイレ行こうと思って起きたら外から丸の『ぬぉお~(ゾンビみたいな感じ)』って声聞こえてその後大倉が『うわぁあ!!』って」

「ついてきてると思ってなかったからびっくりしてさ!お前静かにしろって!みんな寝てんねん!って部屋に戻して出たらまたついてきてんねん!それを5回くらいやった!」

「ほんでその丸の叫びに毎回大倉が新鮮なリアクションすんねん」

「楽しかったな~♪」

「お前覚えてないやろ!」

「そうこいつその一時間全部覚えてない!」

「それ何時くらいの話?」

「朝4時位」

「そらあかんわ」

「やすも知ってんねん!ヤスも起きてんて」

「えっ!…うわぁ~それはほんまにごめーん!」

「目覚めたわ~言うてた。信ちゃんは?」

「俺?ばっくすい!

笑うメンバー

「ぶれへんわ~!」

「まるちゃんもうやめてな。あれはあかんで、ちょっと考えなあかんわ…まぁ俺も同じくらい迷惑かけてるときあるけど……お互いさまやな!!」

「いぇーい」(ハイタッチ)

丸を真剣に諭す途中で普段の自分の散々な酔いどれ事情を思い出した大倉くん、真剣な顔で話してたのに最後はすごい笑顔で開き直ってて可愛かった。

「亮は?」

「いや俺も起きたんすよ!でも怖くて覗けんかった…」

めっちゃ亮ちゃん

「なんかこいつ(丸)朝も酒まだ残ってたんか、俺がモッツアレラチーズ食べようしたんやんか。そしたらフォークでモッツアレラつん…ってしてくんねん!」

「オリーブオイル的なやつやな(笑)」(?)

「いやいらんねん!」

「村上君は?」

「爆睡!」

「お前あれでようおきひんかったな…」

 

「村上さんは昨日何してたんですか?」

「僕は中華食べに行ってました、スタッフと」

「スタッフ怖がってたで」

「えっ?!」

「俺も見たわ。スタッフさん会議みたいなんしててんけど終わった後に『…今日もあれ行くんですかね…あの人すごいですからね…』」

「行くよ!!誰やそれ!」

「いやいや『…カラオケ行くんすかね』って」

誰か「トラウマなってるやん(笑)」

「いやいや俺昨日カラオケ行ってへん!!」

メンバー(ええ?!)

「中華だけ!」

「一昨日(前乗り日)も行ってなかった?」

「三日連続で行こう思って!名古屋でしか食わへんやんか。毎年恒例やねん、大将にもそう言うてるしやな。」

「でもカラオケは行かんかったんや」

「まぁ行きたいのはやまやまやねんけど!」

「村上君お酒入ったらテンション上がって(カラオケ)行きたなんねんな。でも絶対自分から言わんねん!ご飯食べて『どうする?この後、たつぅ』って聞いてくるねん。で俺が…カラオケ?って聞いたらすぐ『よっしゃいこか!』って」

「言わせるんや」

「…たついっつも付き合ってくれてありがとうな。でも今年2回しか行ってない。その言うてたたつと行ったのと、あと一人舞台の打ち上げ」

メンバー(ええ?!)

「俺は行きたいねんけどな」

「コンサートであんだけ歌ってなんで行きたなんねん」

「パート増えたのにね」

「…皮肉なもんやな!!!」

爆笑

「でもみんなどうですか?あれとばしちゃえへん?」

「口が慣れてない」

「村上さん言葉のチョイスおかしない?前から思っててん!飲み物飲むことも口しめらす言うやん!」

スマホとか充電するときも飯食わす言うし(笑)」

「スタッフに『飯食わせといて!おいしいの!』言うて(笑)」

「亮もたまに言うよな?」

「いやでも村上くんおるときだけっすよ!」

「えっ?!まじか!」

「楽屋とかでやるんはええねんけど他の現場でやらんといて。みんな知らんから!」

「ていうかさ、スタッフもなんであんな従順なん?」

「はいい!言うてな」

「いやマネージャーの一人が一人舞台の時ずっと俺についてたんですよ。たまに小遣いもあげてるしやな」

「買収してんの?!」

「いやいやほら、なんかこうてきて~言うたときに残りはとっといたらええがな!って」

「あはははははは」

「まぁ今夜も楽しんきてください」

「えっ…それは今日カラオケ行ってええってこと…?」

ここの上下の繋がりちょっと忘れてしまった

「昨日スタッフだけ?メンバーとか…」

「昨日はでもヨコと

えっ?!いったんすか?!」

「…行ったよ」腕組んで苦笑い

「なんで言わないんすか!なんで行ってない感じだしてるん!」

「いや聞かれてないから…ほんでなんか変な感じになるやん」

「なんなんすか!なんでなんすか!あとなんでそんな斜めに構えてるん!!」

めちゃくちゃかみつく亮ちゃん。ちょっと斜め気味に立っている横山さんの立ち方すらつっこむ安定さ。

「行ったことないから行ってみよかな思って。でもあれもう村上帝国やで!しもべ!ラーメンくえ!チャーハンもくえ!いうて。ほんでこいつめっちゃ食うねん」

「ラーメン食べた後にチャーハン2杯食べるよね」

「昨日もよう働いたからな!ラーメン食うてチャーハン食うて寝た!」

寝たで両手をグーにして顔の横にもってくる村上さん(猫の手みたいな感じ)(実際は布団かぶるジェスチャー)

「お前なにしてんねん!何かわいいのしてんねん!」爆笑する横山さん

「もっかいやって(笑)」

「飯食うて寝た」もっかいやるヒナ

「あははは!!ちゃんと歯みがいた?」フリ

「歯ぁみがいて寝た」フリに答える村上さん

お腹抱えて喜ぶヨコ

「なにがおもろいねん!」

 

「ほんならもう丸(締め)ビシッと行け!」

「みなさん後半戦楽しんで…」

「途中でごめんやけどさぁ」話かぶせて

「後半も盛りだくさん…」一回大倉の方見てそのまま続けようとする丸

「公約ちゃんと果たしてんの?」

ここできゅうにしゃくれる丸ちゃん

「危なかったね。そのまま次行くとこやった」

※公約…名古屋22日入る人へのメッセージ動画の中でMC中しゃくれるという公約を宣言していた丸ちゃん。見事に忘れる

「筆者は言いました、しゃくれてる丸山がいいと…」ごまかそうとする丸

「もうまる一発ギャグやな」先日の一発ギャグを持ち出す倉

一発ギャグする丸山

バイマンスンバイマンスンバイマンスン…バイバイ!(うろ覚え)

特に反応のない会場

「亮今のどうやってん」

首を振る亮ちゃん

「昨日のが全然いいな!」

「昨日のもあかん。丸じゃない」

「厳しいな(笑)お前が丸山隆平やのにな!」

「…(もう一回)やらせてください」

なんか鼻フックの一発ギャグ

横山さんだけつぼにはまって大爆笑

「考えたあげくなんでそれ!」

「ほらスパッときめぇ!」

「景気いいやつ!」

そういわれギャグの準備をする丸ちゃん。手をグーにする

「パーンいくやろそれ」

えって顔して大倉君を見る丸ちゃん

「パーン禁止!」

悩んだ挙句スパッ!っと空を切るギャグをして案の定すべる(横山さんは笑ってる)

「あ~~~~おもしれ!」

「ごまかすなよ!」

それを見て大爆笑する横山さん。こっからなんかつぼにはまってずっと笑ってる

そっから丸と横ふたりで顔見あわせて指さしあって爆笑したりころころしてる

全然しまらなくてちょっとあきらめようとする丸ちゃん

「なになげやりになっとんねん!」

「逃げんなよ!お前何年丸山隆平やってんねん!!」

しぶしぶギャグするまるちゃん。ちょっとうける

「今のおもろかった!」

「まる景気いいやつ!」見たいだけ

「まだいく?鬼や!」

同調する丸ちゃん

「丸、終わりでええんか?」

「…やらせてください」

なぜかほほえみだけずっと青春スポ魂漫画みたいな展開で最高すぎる

「お前の名前は?!」

丸山隆平!」

「よしいけ!」

ここで23日にも続くは花火ネタを披露して無事うける丸ちゃん

横と丸と大倉くんが固まって三人で爆笑してて可愛い

「一発ギャグちゃうやん!」

「おもしれー!!」

「ちゃうねん!!」

「あはははははは」

「長いわ!もう丸だけ一夏終えてるで!」

横山さんずっと爆笑してる

「もっかいやって!!もっかい!」

「もうチケット代オーバーしてるでこれ!」

「もっかい!もっかい!」

もうここから横山さんのおねだりに答える丸ちゃんの形で顔芸したりでずっときゃっきゃしてるパンダコンビ

「あーおもろかった!なんかわからんけど」

「こんな感じで後半もよろしくお願いします!」

こんなんちゃうで!!!

 

全体レポはこちら→(※作成中。木曜以内にあげます)

 

『上を下へのジレッタ』書き起こし #一幕

 

 

 

 

ジレッタ一部

セリフ(門前:門、リエ、リ、なぎさ・チエ:チ、山辺:山、ナレーション:ナ)

曲(曲部分太字。文字が主メロ、アンダーバーがハモリあり)

※キャスト敬称略

 

幕が開くとそこにはキラキラと輝くロングコートを着た門前が立っている。背景には昭和の広告が書かれた東京のビルたち。横には1960〜1980年のいつかと書かれている。

 

【虚構の共犯者】(門前、アンサンブル、プロデューサー

 

(全体的に高くて優しい歌い方)

星をかき消す ネオンサイン

月を挟んだ ビルディング

永遠なる右肩上がり 膨らみ続けるGNP

一億人に 約束された明るい未来

一億人に もれなく当たる明るい未来

 

(転調、アンサンブルのコーラス)

背景が門前の方に倒れてくる。くるりとコートを翻し後ろを向く門前はちょうどビルの間に当たる空洞部分に立っていて門前を避けるように背景が倒れる。その後ろには音楽番組のセットと歌手とスタッフ達(アンサンブル)が各々話している。着ていたコート脱ぎ捨てる門前。コートの下は太腿半ばくらいまである少し長めの黒いジャケットに白シャツ黒ネクタイのスーツ姿。門前に気づき慌てて準備を始める。歌手たちが門前の後ろにつき門前を先頭に指を鳴らしながら前へと出てくる

 

(Aメロとがらりと変わり低く最初の一音に力を入れる歌い方に)

すべてまやかし すべては虚構

「それが何?」とあなたは言う

「上手に騙せ」とあなたは言う

見事かなえて差し上げましょう

生まれついての大嘘つき

希代の詐欺師 天才マジシャン(アンサンブルたちが真ん中に立つ門前を称賛するように)

指が鳴ったら 目を開け(門前が指を鳴らす)

望み通りの虚構の世界(あの独特の踊り)

望み通りの虚構の世界

 

ス「ディレクター!本番です!」

スタッフが走ってきて門前にヘッドセット型のインカムを渡す。受け取り頭につける門前

ス「5秒前!4、3」

 

組織ぐるみの大噓つき

飛ばせ電波でまやかしを

リアルは全部フレームアウト(カメラマンがカメラをフレームアウトさせる)

トークになるまで出番なし

歌の間は休憩時間

 

口パク口パク口パクパク

口パク口パク口パクパク

口パク口パク口パクパク 口パクの歌姫

塗って 塗って 塗って 塗って

盛って 盛って 盛って 盛って

塗って 塗って 塗って 塗って

盛って 盛って 盛って 盛って

(舞台上の歌手達に指示を出す門前。そこにプロデューサー(玉置孝匡)が現れ門前に話しかける)

列を乱すな 事務所の序列を 

列を乱すな 事務所の序列を

 

(門前の前に上からいくつもの電話が現れる。それをひとつひとつ取りながら)

「下品」?「汚い」?「教育上」?

「下品」?「汚い」?「教育上」?

プ「(電話に向かって)申し訳ありません、申し訳ありません、ごめんなさーい!」

あんた、昨夜の夢につべこべ言うか

あんた、昨夜の夢につべこべ言うか

どれも演出! 全部タテマエ!

どれも演出! 全部タテマエ!

そうフィクション! そうフィクション!

 

すべてまやかし すべては虚構

「それが何?」とあなたは言う

「上手に騙せ」とあなたは言う

見事かなえて差し上げましょう

組織ぐるみの大嘘つき

フェイクの達人 電波マジシャン

チャンネル回して 目を開け

望み通りの虚構の世界

望み通りの虚構の世界

 

ス「CMでーす!!」

 

舞台セットとアンサンブルたちがはける。門前に詰め寄るプロデューサー

P「おいおい門前まずいぞまずいぞ!なんだよえ?!なんでよりによって竹中プロのタレントをあんな端っこに?!」

門「説明するまでもないでしょう!」

そんなことを言ってるうちにふんぞり返った竹中社長(銀粉蝶)と秘書(小林タカ鹿)が現れる。

P「見ろ見ろ!来たぞ来たぞ竹中社長が!はいぺったーん!」竹中社長の前に土下座する

竹「説明してくださるかしら?!」

秘「本番中に立ち位置が変わった理由です!」

門「おたくのタレントがあまりにも見苦しかったものでどいてもらったまでです。」

P「門前!」門前をなだめる

竹「見苦しい?!うちの子が?」

門「テレビは常に現実離れしたものを提供しなきゃいけないんです。なのにあんな近所の娘でもできるような歌と踊りをやられちゃったら…」馬鹿にするように半笑いで

竹「それを、現実離れしたものに見せるのがあなた方の仕事でしょう?」

門「せめてガラスならダイヤに見せてやれなくもないですけど、しかしその辺に転がってる石ころじゃあ何をしたって石ころでしょう!」

竹「それはあなたが無能だからじゃなくって?」

門「…無能?この俺が?」笑みが消えありえないというように

竹「今すぐこの仕事はやめた方がいいわ、そうでしょ?」プロデューサーを見る

P「彼をクビにしろと…?いや〜しかしあのぉ…生意気なやつですが、才能のあるやつでして…!」土下座から立ち上がり門前に近づき門前の肩を持つ(物理的にも)門前も当然というような態度でいる

竹「この男を切らないのならすべての番組からうちのタレントを、引き上げます!」

P「門前貴様はクビだ!」門前のインカムをを奪いながら

門「えぇ?!」信じられないというように

竹「結構!」

 

うなだれる門前にスポットライトを当てたままそこ以外は暗転。門前とリエ(本仮屋ユイカ)の部屋のセットがでてくる。そこにはソファに腕を組んで座ったリエがいる。

 

リ「番組見たわ。竹中プロを怒らせなくてもクビになってたかもね?」

門「また一から出直しだ」ソファに近づいて

リ「大丈夫よあなたなら」

門「いい機会だリエ、お前とも離婚しよう」

リ「ぶへっ?!(飲んでた紅茶でむせる)…何がいい機会なの?!」

門「でかい事を始めるにはでかい犠牲が必要ってことさ。ほらこれに」離婚届を差し出す

リ「すでに離婚届?!」

門「すでにサインもしてある」

リ「…逆らっても無駄ね。あなたがそう決めたなら…」

 

しぶしぶ離婚届にサインをするリエ。そこに電話がなってソファに足を組んだ門前が電話に出る。

 

門「はい門前…なに?視聴率?」

 

リエと門前がいるステージの一段下の右端に電話をしているプロデューサーが出てくる。

 

プ「今日の番組がビデオ速報で52%だ!これは快挙だぞ!」

門「それで?」

プ「それでってな…社長が今すぐ会いたいとおっしゃっている」

門「会う理由がないねぇ…俺はもうクビになったんだから!」

 

ガチャン!と強めに電話を切る門前

 

プ「もしもし門前…?おい門前!」

 

プロデューサーがステージの段差を超えて門前の部屋に行こうとするのをリエに片手で止められ舞台袖にはける。(「ごめんなさい」って言ってはける回もある)(手塚作品の第4の壁のオマージュ?)

 

リエが離婚届を持ってソファに座る門前の後ろに立つ

 

リ「何かで読んだんだけど、オーソンウェルズっていう俳優がいてね、彼は天才すぎて仕事も結婚もうまくいかなかったそうよ。だから…あなたもそうなんだわ」

門「サインはしたか?」

 

リエの方を見ないで片手を後ろに差し出す門前。離婚届を渡すリエ。

 

リ「また誰かと結婚するの?」

門「さぁねぇ。したって長続きしないだろうよ」

 

そこに出版社の編集者(馬場)が現れる。

 

編「お疲れ様です!小説文朝です。小説の原稿を催促に参りました!」

門「やばいぞ…!」

 

焦って立ち上がりタンスの引き出しを開けて白紙の原稿用紙を取り出しリエに渡す門前

 

門「リエ!口述筆記だ!」

リ「嫌よ!私もうあなたの奥さんじゃないの」

 

リエにかまわずステージを左から右へ、右から左へと腰に手を当てて歩きながら小説を口頭で語る門前

 

門「銀座についためぐみは来るとも来ないとも知れぬ高橋を思いながら、夜空を彩るネオンを見上げた」

 

抵抗するがいつもの癖で体が勝手に動いてしまい速記を始めるリエ

 

門「そうしていると自分がまるで、ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら…」

編「おお!いつもながら見事ですなぁ!」

門「ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら…ぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺらぺら(長さは日によって変わる)…信じていいの?めぐみは小さくそう呟いた…つづく!」息切れする門前

リ「悔しい!いつもの癖で速記しちゃったわ!」

門「ご苦労!」

編「原稿たまわります…いやしかし先生はタフですなぁ!テレビの演出をしながら、評論もエッセイも小説もこなすってんですから」

門「そんなことよりオタクの雑誌、芸能にも強かったよな?何か竹中プロについてネタはないか?」

編「竹中プロ…あっそういや、晴海なぎさっていう歌手ご存知ですか?」

門「ああ…顔見せない覆面歌手っていうあれか?」

編「はい、そいつをですね、竹中プロは最近クビにしたそうですよ」ニヤニヤ噂話をするように

門「理由は?」

編「さぁそこまでは。それじゃ、次号もお願いしまーす」

門「晴海なぎさねぇ…」

リ「竹中プロに復讐でもするつもり?」

門「コケにされたままじゃいられねぇだろうよ!」

リ「わかるわ。私もそうだから」

 

立ち上がって門前に近づくリエ

 

リ「…執念深いのよ」

門「…この部屋とここにあるものは全部やる。まぁ元気でな。もう会うことはないだろうよ!」ちょっと気まずそうに、最後は言い捨てて部屋を出ていく

リ「会うわよ…きっと」

 

場面が暗転しリエを乗せたソファやセットが舞台袖に引き込まれる。ピアノ(のイラストを描いたハリボテ)とその前に座る門前が出て来る。

ノックの音がする

 

チ「ごめんください、晴海なぎさです」

門「よく来てくれた!入ってくれ」

チ「失礼します!」

 

入って来た晴海なぎさ(中川翔子)を見て驚く門前

 

門「君が晴海なぎさ?!」

チ「はい!本名は越後君子って、」

門「どうでもいいよ!」

チ「えっ?!」

門「覆面歌手として活動してたっていう?」

チ「はい!人前に出るときはこういうのつけてまして…」

 

ピンクの目だけ隠す仮面を取り出すなぎさ。

 

門「納得だよ…」

チ「どういう意味ですか!」

門「竹中プロをクビになった理由は!」

チ「私の田舎でリサイタルがあったんです。アイドルになった姿をどうしてもお父ちゃんに見てもらいたくて!そんだら私、歌ってる途中でこの仮面を、」

門「とったのか?」

チ「そしたら不思議なことに会場中が笑いに包まれて…」

門「不思議でもなんでもねぇな!」

チ「その日のうちにクビになりました…」

門「君!整形するつもりは?」

チ「あはははは!」

 

笑いながら門前の肩を叩く。ふっとぶ門前に構わず話すなぎさ

 

門「ぅおっ?!」

チ「ありませんよ。こう見えて私、ミス丸太ん棒なんですから!」

門「なんだそれ?」

チ「うちの田舎の伝統的なミスコンです。五日間道端に何もしないでこう丸太ん棒みたいに突っ立って、でその間に言い寄って来る男の数を競うっていう」

門「君にいいよる男がいたってのかよ」

チ「いたもなにもダントツの54人です!」

門「数え間違いだろ!」

チ「間違ってません!」怒ったように

門「まぁとにかく歌を聴かせてくれ。ここに君がこれまで出したシングルの譜面がある」ピアノの前に座り譜面を物色する門前

チ「その前に何か食べさせてもらえませんか」

門「テストが済んだら食わせてやる」

チ「失業してからろくなもの食べてなくて…」

門「さぁどれを歌う!」

チ「出前をとってください!」

門「じゃもうこれでいいや!黄昏のフィナーレ」

チ「おそばかラーメンで結構ですから!」

 

ピアノを弾き始める門前。黄昏のフィナーレのイントロが流れると歌い出すなぎさ。

 

【黄昏のたぬきそば】(チエ

I love you

I miss you

Do you love me?

I love you

I need you

I do love your noodle……

門「ヌードル?!」

遠回りした帰り道

夜風に揺れる藍のれん

かすむメニューは湯気のせい?

向かいの席には見知らぬ誰か

誰かのすするたぬきそば(見えないそばの麵をもちあげる)

あなたの好きなたぬきそば

 

門「お前はなんの歌を歌ってんだ!」

チ「何か食べたらもっと上手に歌えます!」

門「はい二番!」

チ「待ってください!私もうふらふ…」と言いながらも曲が始まると歌ってしまう

I love you

I miss you

Do you love me?

I love you

I need you

I do love your noodle……

門「ヌードル?!」

明りの消えた部屋の窓

静まり返った部屋の中

薄い壁越し囁くの

ズズズズズズズ…ズズゾゾゾーッ

門「そばをすするなそばを!」

あれはきっとたぬきそば

揚げ玉?天かす?どっちでもいいわ!

まるで水面を埋める花吹雪

それが私のそれが私のたぬきそば

 

歌詞に顔をしかめながらも演奏を続ける門前。曲が終わると一瞬なぎさがいる場所が暗転し、また光が当たった時には変身して美女になったなぎさがいる。

 

門「わぁあ?!…き、君?!」

チ「このくらいでご勘弁を!」

 

チエの横に滑り込む門前

 

門「どういうことだこの顔はぁ!」

チ「また顔の話ですか!」

門「だってまるで別人だぞ」

チ「もう贅沢は言いません!お水でいいから飲ませてください!」

門「ちょっと待ってくれ!」

 

背中からくるっと回って膝をつく門前

 

門「ちょっと待…ミス丸太ん棒!」立ち上がってチエを指差す門前

チ「はい!」手あげるチエ

門「その時も腹は空いてたか?」

チ「そりゃあ丸五日間飲まず食わずで立ちっぱなしでしたから!」

門「からくりがわかってきたぞ。つまり君は腹が空くと美人に変身するってわけだ。しかしそのことを竹中プロは知らなかった。所属している間は曲がりなりにも食えてた訳だからな!」

チ「お水勝手にいただきます」水を飲みに行こうとするチエ

門「ちょっと待て!」

チ「いいじゃないお水くらい!」地団太を踏む

門「俺と契約しよう、渚」

チ「えっじゃあ雇っていただけるんですか?」

門「となると芸名を変える必要があるな…そうだな…小百合チエってのはどうだ!」

チ「あはははは」

門「何がおかしい!」

チ「すいません」

門「俺に任せろ小百合チエ。この門前市郎が必ずお前をトップスターにしてみせる」

 

二人の後ろに門前プロ設立パーティーの看板がついた壁が出てくる。前にはスタンドマイクと二人を取り囲む記者たち

 

門「えーこの度私門前市郎は、芸能事務所門前プロを立ち上げました。そのご披露兼ねて弊社の所属タレントであります小百合チエをご紹介いたします」

チ「小百合チエでございます」

記者達から驚愕の声が上がる

記1「すごい美人だ!」

記2「門前のやつ、竹中プロに対抗するとか言った時はあらぬ事をと思ったが」

記3「これはひょっとするとひょっとするわね〜!」

この間2回くらい白目をむいて倒れそうになるチエを慌てて元に戻す門前

 

チ「どうぞよろしくお願い致します」頭を下げると同時に腹が鳴る

 

記1「…なんの音だ?」

門「会見は以上です!失礼致します!」慌ててチエをはけさせる

 

記1「小百合チエさんの今後のスケジュールは!」

記2「デビュー曲は!」

記3「コンサートの予定は!」

 

チエを追いかける記者たちを制して言い放つ門前

門「うちはタレントを安売りしませんよ。はじめから大勝負に出るつもりです。例えばそう、ブロードウェイのジミー・アンドリュウスと共演させるとかねぇ」

 

一瞬の沈黙にあと記者達に笑いが起きる

 

門「何がおかしいんだ!」

竹「あっはっはっは!」

 

そこに竹中社長と秘書笑いながら現れる。驚く記者達

 

竹「これがおかしくないってんならあなた正気じゃないわ!」

門「いらしてたんですね、竹中社長」

竹「あの世界的なスターと日本の無名タレントが共演出来るわけがない!」

門「どうしてそんなこと言い切れるんですか」

秘「我が社ですら相手にしてもらえないん」

記達「「へぇ〜」」

竹「余計な事言わなくていい!」秘書を睨みつけながら

秘「すいません!」

門「それはあなた方が…無能だからじゃないですか?」(クビにされた時に竹中社長に言われたセリフと同じセリフで馬鹿にする)

竹「なんですって?!」

記者達もくすくす笑う

門「では失礼」

竹「ちょっと待ちなさい!」

竹中社長を気にもとめず颯爽とはける門前。記者達も門前を追いかけていく

 

残された二人。竹中社長はスタンドマイクを握って言い放つ

竹「あのど素人め!見てくれだけでスターになれるほど芸能界は甘くないわ!」

 

場面は変わって門前はジミーに送るために、クレオパトラ(主観)のような格好をしたチエの写真をカメラマン(玉置)に撮らせている。その間ずっと腹の虫の音がなっている。

 

門「尻を突きだせ!胸をぐっと寄せろ!そんで腹を黙らせろ〜(辟易した感じで)」

チ「だったら何か食べさせて!」

カメラマン(以下カ)「笑って!オッケー!…最高の仕事が出来ました!」

門「さっそく現像してくれ。一刻も早くアメリカのジミーに送るんだ」

カ「任せてください!」

 

そう言ってカメラマンと助手が部屋を出ようとした所で扉が開き扉がカメラマンに直撃し、カメラマンは倒れる。扉から1人の男(浜野謙太)が入ってくる。

 

カ「いたあ!」

山「ああすいません!」

門「誰だお前は!」

チ「おんちゃん?!」

山「きみちゃん!!」

 

男とチエが駆け寄り抱き合って再会を喜んでいる。

 

門「知り合いか?…ってそんなことより現像だ!」

助「はい!」

 

助手がカメラマンを起こして2人で一緒に跳ねる。門前としばらく見つめ合うカメラマンと助手。

 

門「ちょ、もう早く行けよ!」(毎回ちょっと笑いながら素の感じで言ってる)

 

2人を押し出す門前。

 

山「さ、これを着な」自分のジャケットをチエにかけてやる

チ「優しい!でもどうしてここに?」

山「テレビできみちゃんの記者会見を見たんだよ」

門「一体誰なんだ…」

山「俺が誰か知りたいか。俺の名は…山辺音彦だ!」

チ「私の幼馴染なんです。一緒に夢を追って上京してきたんです!」

 

【食うか飢えるか】(門前チエ山辺チエ&山辺全員

揺らり揺られて夜行列車

俺は漫画家 君は歌手

夢への道は各駅停車

 

いつかきっと一発当てて

君に思う存分食わせたい

食わば食うほど食えなくなるぞ

食ったら食えなくなるぞ

 

今は食わせてやれないけれど…(山辺がクロワッサンをチエに差し出す)

飢えてこその小百合チエ

mogmog 贅沢は言わない(クロワッサンを食べながら)

そこそこ食べていければいいわ

そもそもが大食いだ(チエから門前がクロワッサンを取り上げる)

 

結婚資金コツコツ貯めて

芸能界でパッと荒稼ぎ

ルルル故郷で質素に結婚式を上げましょう

世界がマーケット 小百合チエのマーケット

 

ルルルまずは!食えるように(山辺がバナナをチエに差し出す)

ルルルまずは!もう食うな(チエから門前がバナナを取り上げる)

食わせてやりたい 食えなくなるぞ

食べられるようになったら(山辺と門前にかわるがわる言われるチエ)

飢えたままでいられたら 必ず

必ず 必ずひらける夢への扉…

 

山「お前がきみちゃんを虐待してるのが一目でわかった!こんな貧相な顔になっちまって…」チエの顔をなでる

チ「見苦しい姿を見せちまったわねぇ」

門「見苦しいのは元の面だよ」

山「俺は本来のきみちゃんの顔が好きだ!」

門「そっちが好きなのは日本中で君だけだ!」

山「なに?!」

門「そろそろインタビューの記者が来る。外で決着をつけようじゃないか」

山「望むところだ!」

 

出ていく門前。チエにかけていたジャケットを取り追いかける山辺

 

チ「さむっ!…先生!おんちゃん!」

山「待ってろきみちゃん、戻ったら2人で腹一杯食べような!」出ていく山辺

チ「おんちゃん!おんちゃ〜ん!」扉にすがりつく

 

部屋に取り残されるチエ。場面は変わり工事現場を歩く門前と山辺

 

山「どこまで歩かせやがるんだ!もうここで決着つけようじゃねぇか!」

門「だってここはビルの工事現場だぞ!」

山「いいか、よく聞け!俺ときみちゃんはな!」

門「婚約してるんだろ。でも2人して金がない。だったら大人しく彼女の成功を待ちな!」

山「ばかやろう…!こうなりゃ話は別だ!俺はな!

(ここで工事の音が大きくなり山辺の声がかき消される。聴こえなくて顔をしかめる門前)

うぃーんかしゅ…で、そのあたりどうなんだ!」

門「すまない…まったく聞こえない」

山「この野郎…!もう二度と言わねぇからな!俺はな!

(またもや工事の音がうるさく山辺の声がかき消される)

うぃーんかしゅ…ってな。さぁ!答えを聞かせてくれ!」

門「…ごめん!もう一回頼む!」(日によってごめんの言い方が焦ってたり落ち着いてたり)

山「ふざけやがってこの野郎!」

 

襲いかかる山辺に工事現場の高いところへ逃げる門前。

 

門「だって!音がさっ!」(必死に止めるが向かってくる山辺。この辺割と横山さん)

門「落ち着けよ!話し合おうじゃないか!なっ?ちょっと落ち着けって!」

山「待ちやがれって!」

門「ほらお前危ないぞ!下見ろって下!下!」

工事現場の足場の上で揉み合いになる二人。基本的には山辺が掴み掛かり門前は避けるだけ。避けられて勝手にフラつく山辺

 

山「…!お前、やりすぎだぞ…!」

門「なんもやってねぇよ!!」

門「おい…ちょっと落ち着けって、な?話そうじゃないか落ち着けよ!」

 

掴みかかる山辺を引き剥がそうとする門前

 

山「門前!門前!」

門「離れろ!離れろってもう!」

山「うわ、」

門「山辺?!」

山「うわー!!!」

 

門前が山辺を引き剥がすと勢い余って山辺がそのままビルの下に落ちてしまう

 

門「山辺ーー!!返事しろ、山辺ー!!」

 

山辺が落ちていったほうを見下ろして叫ぶ門前。そこに作業員の男2人(小林、玉置)が登って来て思わずなんでもない風を装う門前。

 

男1「あんた、そんなとこにいちゃ危ねぇよ」

男2「万が一足踏み外してあの、すご〜〜く深い穴に落ちたら、命がねぇ」

門「命が?!」

男1「だからこれから塞ぐんだ」

門「塞ぐだって?!」

男2「なんだい、あのすっご〜〜く深い穴になにか落としちまったのかい?」

門「……………いや、何も…」

男1「そりゃすっご〜〜くよかった」

男2「くれぐれも落っことさねぇようにな、自分だけは」

 

咳き込みながらはけていく作業員たち。呆然と立ち尽くす門前

 

門「…山辺が死んだ…どうする俺………いやいや、死体は見るからねぇ、穴は塞がれちまうんだ!憐れ山辺音彦は単なる行方不明って事になる。…いや、ちょっと待て!チエのやつになんて説明する!彼女だけは俺と山辺が一緒だった事を知ってる…くっ…どうする門前!」うなだれ鉄柵にもたれかかる門前

 

ナ「そうして悶々と過ごしつつ、一週間が経ったある日の事だった」

 

門前は工事現場で項垂れているまま。そこに電話が鳴る。

 

門「はい門前」

 

項垂れたまま工事現場の安全第一の看板の裏から受話器を取る(笑う所)

 

門「…なに?ジミー・アンドリュウスが?チエに食いついたか!!」

 

門前のいる工事現場のセットがはけ銀テープのカーテンが現れる。そこから足だけのぞかせる女たち。そして曲に合わせジミー(馬場徹)と各国の民族衣装を着た女性が出てくる

 

【Fake Star】(ジミーチエ門前マネージャージ&チ門&マ、全員)

 

My ladies, My ladies, My ladies, My ladies

My ladi-ladi-ladi the world ladies!

My ladies, My ladies

僕のボディはいくつある?

一つと答えた君は間違いさ

僕のボディは国の数

細切れになって 君のもとへ飛んでゆく

食事に行こう マドモアゼル

一杯やろう マトリョシカ

踊りあかそう ツタンカーメン

 

My ladies, My ladies, My ladies,

 

チエと門前が現れる。門前は最初と同じ黒いジャケットになかは黒のタートルネックになっている。二人はソファに座る

 

門「信じられるかチエ、あのジミー・アンドリウスがお前に会いにはるばる日本までやって来た!」

チ「私に会いに?!あのなんだか薄っぺらい外人が?」

 

Ah- My ladies the world ladies!

Ah Ah- My ladies the world ladies!

 

門前とチエの反対の端にはスーツケースに入ったよくわからない機械を操作しているジミーのマネージャー(玉置)がいる。

 

マ「気をつけろジミー!テープと口がずれてるぞ!」

ジ「シッ!」(ジミーと同じように女たちもシッ!と人差し指をたてる)

 

You are just a Fake star!

Fake star!

世界の女虜にする 僕の美声

偽りの声

天から授かりし 奇跡の美声

テープが授けた

百万曲歌ったって潰れない俺の喉

喉に仕込んだスピーカー

Fake star!

(マネージャーが歌ってる時だけ耳をふさぐ女たち)

 

そうよ Fake star! 偽りの美貌(ジミーに近づいていくチエ)

そうさ Fake star! 偽りの美声

お腹が空いてる間の

テープが回る間の

期間限定の栄光(手を合わせて歌う二人)

 

マネージャーが近づいてくるのを見て立ち上がる門前。二人は握手を交わす。

マ「ナイストゥーミーチュー、ジミーのマネージャーです」

門「門前です。ご覧なさい、すっかり意気投合したようです」

 

You are just a Fake star!後半急に声がガラガラになるジミー。驚いて顔を見合わせるジミーとチエ)

マ「機材トラブルか!」

門「機材?」

マ「あ、いや、ちょっと失礼!」ジミーをつれて後ろに下がるマネージャー

 

チ「どうしたのかしら…」(門前のもとに向かうチエ)

門「お前こそどうしたその陰気な顔は!」

チ「そりゃだって!おんちゃんがぁ!」

門「いい加減奴のことは忘れろ」チエに背中を向ける門前

ホ「ルームサービスです!」

走ってルームサービスに食いつくチエ。思わず引き返すホテルマン。そのまま食べ物を追ってステージからはけるチエ。

ホ「う、うわぁぁあ?!」

背中を向かたままの門前は気づかない

門「スナックのホステスと駆け落ちなんて随分薄情な野郎じゃねぇか。そんなことより今はジミーだ。国際的なスターの彼に気に入られて…っおい!お前食うなーっ!!」

 

振り返ったときにチエがルームサービスを食べようとしてるのを見て追いかけていく門前。残されたジミーが2人がいない事に気づく。

 

ジ「おいチエは?チエはどこいった!」

マ「喋るな!」

ジ「まーだなおらないのか!!」

マ「なおるまでは一切口を開くな!いいな!」

ジ「〜〜!」ちくしょうという顔をするジミー

 

そこに戻ってくる門前と元姿に戻ったチエ

 

門「ああ〜〜ちっくしょーっ!」

チ「すいませ〜ん」

門「走れ!ホテル中走って今すぐ腹を空かせろ!」

 

(チエとジミーが前に出てくる)

Oh Oh Oh Fake star! 偽りの名声

Oh Oh Oh Fake star! 偽りの喝采

けれど じゃあ「本当の私」は?

見向きもされない「本当の私」

とどかない「私の肉声」

「本物」は無価値?

 

「真相」は闇の彼方へ…

独り歩きのFake star Fake star Fake star(四人並んで客席を向いて)

 

場面は変わり真ん中に鉄柱がある暗くて広い空間に小汚い男が倒れている

 

ナ「一方、あの山辺音彦はどうなったのか。ビルの工事現場の穴に落ちてから60日が経った今も彼は…まだ生きていた!」

 

山「こんなところで死んでたまるか!今日こそ出口を見つけ出してやる…!おや?こんなところにボタンが。ご用の方はこのボタンを押してください…わぁ!あるよあるよご用の!」起き上がってあたりをみまわすと鉄柱の下にボタンのついた看板を見つけて押す

 

ピンポーン

?「はーい」

 

ボタンを鳴らすとどこからか返事が聞こえ奥に(スクリーン)に長い階段が現れる。

 

山「うわぁ?!これ出口か?!」

 

すると前方から黒い人影が降りてくる

 

山「誰か降りてくる!…俺だ!」

山『ああ、俺だ』人影は山辺だった

山「ここに俺がいるってのにどうしてそこにも俺が…納得のいく説明を…おい!落ち着け俺!」スクリーンの自分に向かって話しかける

山『いやなんか柱が邪魔で…』二人の間には二本柱がある

山「柱?じゃあ今飛ばすよ。お願いしまーす」そういうと柱が消えていく

山「おい!いいのか?このビルを支える柱だろ!」

山「話を逸らすな俺!ここは一体どこなんだ!」

山「ここは…ジレッタさ!」

山「ああ説明している時間はない!カウントダウンはもう始まってるんだ!」

 

ジレッタ山辺がいるスクリーンに数字が現れる。しかし減るのではなく増えていく数字。

 

山「数増えちゃってんじゃねぇかよ!」

山「うわぁー!もうだめだー!」

山「いつになったらダメなんだ!」

山「わからない!」

 

中途半端な数字で急に爆発するジレッタ山辺。するとそこに派手に着飾った女たちが出てくる。かつらと小汚い服を山辺が脱ぐとオールバックに銀の光る服とモールを首からかけた姿に

 

山「ジレッタの説明については爆死した俺に変わって、生き残った俺が」

 

【ジレッタ01】(山辺、アンサンブル)

俺のジレッタ! ジレッタ! 俺の妄想!

これがジレッタ! ジレッタ! 俺の幻想!

俺の想像! ジレッタ! これがジレッタ

 

山「ナレーション!」

ナ「そう山辺音彦はこのジレッタという名の妄想世界に浸るおかげでかろうじて生きながらえていたのだ!」

 

ジレッタ!(人差し指を立てて上と下を示すジレッタポーズ。上を下へを表す踊り)

俺にもっとジレッタを! ジレッタ!

ジレッタ!お前がいてくれさえすれば!

未来永劫!永久!

ジレッタ!エターナルに生きて見せる!

ジレッタ

 

女たちが山辺を囲みもてはやす。そこへ現れるチエ

 

山「わぁ!きみちゃん!どうしてここが!」

チ「先生が良心の呵責に耐えかねて教えてくれたのよ!」

山「門前が?信じられねぇな…」

チ「でも無駄足だったわ。私はあんたのハーレムに加わるつもりはないわ!」

山「いやそれは誤解だよ!彼女たちは俺がソロだとさすがに寂しかろうと好意で集まってくれてるだけなんだ」

チ「さようなら!」

山「きみちゃん!ねぇきみちゃん!知ってるだろ、俺にはきみちゃんだけなんだ!」

チ「悔しい!私、今にも嫉妬の炎で燃えそうよ!」

山「嫉妬だなんてあっちぃ!きみちゃんほんとにあっちぃよ!」

 

チエ(の後ろのスクリーン)から本当に炎が出てくる。

 

チ「今にも炎上しそう!」

山「やばいって!どうにかしたほうがいいってきみちゃん!うわあああ」

 

炎に巻き込まれる山辺

 

たまに火だるま! たまに火だるま! そして水中! そして水中!

時に台風! 時に台風! 無事に乾燥! 無事に乾燥!

 

山「快適!」

 

女性たちに囲まれ笑顔の山辺。そこに響き渡る銃声。女たちは逃げていく。

 

山「誰だ!俺を狙撃しやがったのは!」

 

後ろを振り返るとライフルを肩に担いだ門前がいる。

 

山「門前…!あ、逃げるな!おい!」

 

右に逃げたと思うと反対から後ろを向いて現れる(ニセ)門前。

 

ニセ門1「はっはっはー!俺ならここだ!」

 

山「瞬間移動?!お前いつの間にそんなっておい逃げるな!」

 

さらに反対から出てくる(ニセ)門前。

 

ニセ門2「はっはっはー!俺ならここだ!」この門前は公演日ごとに違うふざけた感じの挑発をしてくる。(千秋楽はグリコのポーズ)

 

山「意図が見えない…」

 

ニセ門3「はっはっはー!俺ならここだ!」

山「門前!」

 

(ニセ)門前がまだステージにいるのに山辺の目の前に出てきてしまう本物の門前

 

山「っておい出てきちゃってんじゃねぇかよ!ずさんだぞ!」

門「はっはっはー!俺ならここだぁ!」

山「知ってんだよ!」

 

ここからただのハマケンと横山さんな感じ。笑って誤魔化そうとする門前につられて笑う山辺。そこの部分は毎回半分はアドリブ。

本物の門前と山辺がじゃれてたらニセ門前3はしびれを切らして山辺を殴る。

 

山「おい!わ、うわー!門前!」

 

逃げる本物の門前を追うと今までのニセ門前も出てきて門前たちにボコボコにされて倒れる山辺。門前たちははけていく。ここで元の浮浪者のような姿に戻る山辺

 

山「ちくしょう…!門前、あ、門前たちめ…!」

 

倒れた状態から何事もなかったかのように起き上がる山辺

 

山「今回の出来はまぁまぁだな。しかしよく考えてみるとジレッタの中で起こることどれも俺の過去の漫画のアイデアだ」

 

そこに工事のドリルの音が聞こえて来る

 

山「おっ?!レスキュー隊か?!おーい!ここだー!ここだー!…はっ!まさかこれも、ジレッタか…?」

 

場面が変わり記者に追いかけられながら現れる門前とチエ。

 

記1「小百合さーん!」

記達「「小百合さーん!」」

記1「一言お願いします!」

記2「ジミーとのご関係は!」

記3「ジミーと正式に契約したという事ですか!」

門「会見で話した通りです。小百合チエのデビューコンサートは正月二日。客演はジミー・アンドリュウス!」

記1「ジミーが共演を承諾した理由は!」

門「シンパシーです。2人はお互いにしかわからないシンパシーを感じた、とだけ申しておきましょう」

記2「小百合さん!一言意気込みを!」

チ「お腹が空いた…」

門「さぁどいてください!」

記者たち「小百合さーん!」

 

記者たちを振り切って出ていく2人。場面は変わり門前の事務所。

 

門「くっ…くく、やったなチエ!俺たちとうとうここまで…!」

 

そう言ってチエを抱きしめ揺らす門前。されるがままのチエ

 

門「…ん?まるで風船を抱いてるみたいだぞー?」

チ「そりゃだって!もう丸三日も何も食べてないんだもの!」

門「許してくれチエ、お前の努力には頭が下がるよ…しかしこれも!お前をスターにするための試練だと思ってくれ」チエの手を取り機嫌をとるように話す門前

チ「スターになる前に餓死しそうです!」門前を突き放す

門「おお?そろそろさっきの記者会見が放送されるな」

チ「〜〜!」悔しそうに泣くチエ

 

テレビをつけソファに座り、隣の空いてるスペースを叩いて手で来いとチエを呼びつける門前。しぶしぶ従うチエ。テレビはニュース番組が始まりキャスター(小林)がニュースを読み上げる。

 

『次のニュースです。今朝東京都港区にある建設中のビルの地下から男性が救出されました。男性のいた場所は出入り口のない密室でしたが、配線工事の為入った作業員によって偶然発見されたということです。』

 

チ「良かったわねぇ」

 

テレビを見てつぶやくチエ。門前はチエの肩に回していた腕を外し信じられないというようにテレビを前のめりに見つめる。

 

『男性はその場所に二ヶ月〜三カ月の間閉じ込められていたと思われます。』

 

チ「三カ月も?!ビルの下なのにご飯はどうしてたのかしら!」

門「やつだ…山辺のやつが生きてやがった!意識が戻ったらあの晩の事を話すに決まってる…俺のことも、小百合チエの正体も!どうする門前…あ〜ちくしょう!成功はもう目前だってのに!」立ち上がってうなだれる門前

 

場面が変わりスクリーンの向こうに人影。スクリーン横には一月二日小百合チエデビューコンサートの文字。スクリーンが上がるとジミーが歌いながら出てくる。

 

【偽りの代償】(ジミーチエ門前マネージャージ&チ竹中社長、アンサンブル)

Keep on lying. 君が見つめているうちは…

Keep on lying. 君から名を呼ばれるうちは…

 

雲の切れ間に消えゆく階段

昇るはしから崩れるステップ

走っても 立ち止まっても 崩れ落ちる運命

 

Keep on lying. 今さら降りる術はない…

Keep on lying. 昇り続けるしかないだろう?

昇り続けるしかない

 

ジ「さぁ君の出番だ、プリンセスチエ」

 

そう言ってチエに手を差し伸べる。近付き手を取るチエにキスをするジミー。止めようとするマネージャーをニヤリとし手で制す門前。指笛を吹く門前。しかしロマンティックなキスはチエがジミーに噛り付いた事で終わりを告げる。

 

ジ「うわあああ!」

門「やめろチエ!ジミーの舌は食い物じゃない!大丈夫かジミー!」

マ「なんてキスだ…!」ジミーをかばってチエたちを睨みつけながら

 

喉を抑えるジミーと咳き込むチエ。

 

食われた!』マネージャーに訴えるジミー

なにかが喉に口を開けて門前に見せるチエ

門「なにか?」チエの口の中を見る

スピーカー!』チエの方を指さす

飴玉かしら

門「飴玉?!」

 

(どこからか聞こえてくるジミーの歌声)

Keep on lying. 君が見つめているうちは…

Keep on lying. 君から名を呼ばれるうちは…

聴き覚えのある甘い調べ(みんなが耳に手を当て耳を澄まして音の出所を探す)

Keep on lying

「お腹?!」私のお腹から!

「吐き出せ!」

何を?

止めろ!

どうやって?!

止まらん!

「故障だ!」

なんでもいいから止めてこい!(チエを追いやり自分もはける門前)

歌おう地声で それだけはやめてくれ(残されたジミーとマネージャー)

 

雲の切れ間に消えゆく階段

昇るはしから崩れるステップ

走っても 立ち止まっても 崩れ落ちる運命

 

Keep on lying. これ以上もう進めない…(観客の前に向かおうとするジミー)

Keep on lying. どれほど高い場所に来た?(それを追いかけるマネージャー)

Keep on lying. 落ちたら砕け散るだろう…

Keep on lying. まだ昇れと言うのかい?

 

そこに戻ってくるチエと門前。チエは元の姿に戻っている

 

止まったわ!

またその顔か

お水をたらふく飲んだから

その顔で その声で

ステージに立った途端に 魔法が解ける

魔法をかけて 魔法をかけて

誰か私に 解けない魔法を!

 

ざわつく会場。マネージャーの持っている機械が壊れて煙をあげる

 

マ「もう無理だジミー!引き上げよう」

ジ「それじゃ契約違反だろ!」

マ「こんなとこでお前のスター生命を終わらせてたまるか!」

そういってはけるジミーとマネージャー

 

門「5分で元に戻れ!あとはなんとかジミーに繋いでもらう!なぁジミー!(チエを追いやり振り返るとジミーはもういない)…あれ?おいジミー!ジミーどこ行った!おいジミー!ジミー!」

 

会場の不満が爆発する。ジミーのファンの女たちが現れ門前に詰め寄る

 

ジミー!ジミー!ジミーの歌を!

ジミー!ジミー!歌えジミー!

 

いない…消えた…

 

今度はチエのファンの男たちが現れ、同じく門前に詰め寄る

 

チエ!チエ!チエの顔を!

チエ!チエ1笑えチエ!

 

そっちも準備中だ……

 

門前!門前!謝罪しろ!

門前!門前!土下座しろ!

 

客たちに追いつめられる門前の前に竹中社長が現れる

 

頂点までの長い旅路をあざ笑う 一瞬のうちに起こる無情な転落

一度張られたレッテルは簡単には剝がせない

真っ暗闇の奈落の底 降り注ぐ石

投げ返すには深すぎる

お前は二度と這い上がれない

 

やめろ…やめてくれ…!

 

門前!門前!謝罪しろ!

門前!門前!責任を果たせ!

責任を果たせ! 責任を果たせ!

 

門「あ…ああ!違うんだ!ああ、うわああー!」

 

追い詰められる門前。門前を残し暗転し、後ろのセットがリエの部屋に変わっている。ふらふらとソファに倒れるように座る門前。

 

リ「そろそろ来る頃だと思ったわ」

門「お前も俺を笑ってんだろ」

リ「私を他の連中と一緒にしないで」

門「俺に回りにはもう誰もいない」

リ「あなたはね、トカゲみたいに、体の一部を失ってもすぐに前より立派なものが生えて来るの!この部屋は、それまでの巣みたいなものよ」立ち上がって門前の後ろまで行く

門「…っ、さすがによくわかってるな!俺はまだまだこんなもんじゃない。この程度の挫折じゃかすり傷さえつけやしないんだ!」

 

簡単に乗せられる門前。立ち上がりリエを引き寄せキスしようとする門前。しかしそこに電話がなる。出ろ、という感じでリエを追いやる門前。リエは不満そうな顔をしつつ電話に出る。

 

リ「はい。…ええ、いますけど。あなたによ、大学病院から」

門「病院?」いやいや近づいて電話に出る

門「…はい門前。…えっ?!あ、ああ!すぐ伺いますから!」

リ「これ以上まだ何か?!」

 

出て行こうとする門前のコートを取り、門前を止めるリエ。

 

リ「待って!置いて行くつもり?唯一の味方を」

門「…お前もついて来てくれ」

リ「行き先は?」

門「ビルの工事現場だ」

リ「工事現場?」

 

リエは門前にコートを手渡し二人で部屋を出て行く

 

場面は変わってあのビルの地下に山辺が倒れている。そして門前を呼び出した三人の医者(小林、玉置、馬場)が説明を始める。門前はさっきまでの服に黒いロングコートを羽織った姿に

 

医1「病院で容態が急変しまして。試しにここに戻したところ安定したと言うわけなんです」

医2「しかしそもそも不思議なのは彼が三ヶ月の間飲まず食わずでどうして生きながらえていたかということです」

医3「それもこの場所に秘密がありそうですが」

医1「何かあるとすればこの鉄柱です。彼が眠りにつくのは決まってここで、この場所でのみ容態が安定するのです」

門「そんなことよりどうして俺が…こんな男に見覚えは」目を泳がせながら

医2「それは彼の妄想き決まってあなたが登場するからです」

門「俺が?」

リ「ちょっと待って。彼がどんな妄想をしているかなんて本人以外にわかるわけないでしょ」

医3「それがわかるんです」

医1「さぁお二人ともこれを!」

 

そう言って二人に聴診器を渡す医者

 

門「…聴診器?」

医2「それを彼の胸に当ててごらんなさい」

医1「さぁ騙されたと思って!」リエの肩を掴んで山辺の前に座らせる

リ「すごくいかがわしいわ」肩に置かれた手を振り払う

医3「決して損はさせませんから!」

 

渋々従って聴診器を山辺に胸に当てる二人

 

医1「そうそう!なるべく頭を空っぽに」

医2「余計なことを考えるとジレッタに反映されてしまいます」

門「ジレッタ…?」

リ「なんだかお医者さんごっこみたいだわ」

 

場面が変わり気づくと二人は砂漠の中に。二人の後ろには馬に乗ったカーボーイ

 

門「どこだここは?!」あたりを見回す

リ「きゃっ!見て!」振り返り馬を指さす

門「馬?!」

 

【ジレッタ02】(チエ山辺チエ&山辺、アンサンブル)

 

ヒーハー!

サボテン サボテン サボテン

決闘 決闘 決闘

酒場 拳銃 テンガロン

ここはテキサス アラバマ メキシコ

ステレオタイプの西部劇 ヒーハー!

西部劇 ヒーハー!

 

リエを取り囲むカーボーイ

 

リ「きゃあ!」

門「やめろー!俺の女になにするつもりだ!」

カ「お医者さんごっこだ!」

門「えぇ?!」

 

ヒーハー!

注射 注射 注射

問診 問診 問診

点滴 お薬 レントゲン

(リエを取り囲みリエに注射やら問診やら点滴、薬、レントゲンをするカーボーイ達)

こりゃもうダメだ! オペの準備を!(門前を引っ張ってくる。門前も訳が分からないまま手袋をつける(フリ))

前代未聞の大手術 ヒーハー!(リエの体をメスで開いて見て、うわっと逃げる門前)

大手術 ヒーハー!

 

リ「やめて!きゃあ!」

門「大丈夫か!リエ!」

 

悲鳴あげるリエと戸惑いながらもリエを助けようとする門前。そこにカーボーイ姿の山辺とチエが馬に乗って現れカーボーイ達を銃で蹴散らす

 

リ「助かった!」

 

俺は保安官 ジレッタの保安官 ジレッタの和を乱す者は許さない

私のオンちゃん ジレッタの英雄

私たちジレッタ1の美男美

 

二人をステージの左右の端と端で見ているリエと門前。歌い終わり門前の前に拳銃を投げ捨てる山辺

 

門「…どういう意味だ」

山「取れ!門前」

リ「決闘?!」

チ「男なら拳銃を取りな!」

リ「やめて!」

門「いいさ!こいつとはいずれケリをつけなきゃいけなかったんだ」

山「よく言った!さぁこい!」

 

馬からおりる山辺。馬の胴体の部分についてる偽物の足は残されたままなのでそれを掴んでえっ?という顔をするチエ。拳銃を取りゆっくりと山辺の反対に向かう門前。いざ振り返って山辺を撃とうとしたところでチエと山辺が乗っていた馬に撃たれる門前。

 

門「ぐあっ!ああ!…えぇ?!」腹を抑えてマスオさんみたいな感じで驚く

リ「馬が、撃った」呆然とするリエ

山「勝った」

リ「撃った、馬が」

 

高笑いをしながら去っていくチエと山辺。その場に崩れ落ちて倒れる門前にかけよるリエ

 

リ「ひどいわ!」泣き出す

リ「馬なんかに…!」

 

場面は変わり元の世界に戻ってくる二人

 

リ「馬なんかに…」

門「うあ!ああ!えぇ?!」えぇはさっきと同じ感じ

 

聴診器を医者に外される二人

 

医1「お分りいただけましたかな」

門「さっぱりわからない!」立ち上がって叫ぶ

医2「彼の妄想を体験できたでしょう?」

リ「今のは一体どういうこと?」

医1「調べたところこの鉄柱は東京中の騒音の中からある種の超音波を吸収し、発している」

医2「つまり、その超音波が彼の脳を刺激してとんでもない妄想を生み出しているのではないかと」

門「その妄想をどうして俺たちが見ることが」

医1「それはこの男の精神波が強いからでしょう」

医3「妄想中彼は仮死状態になる。それで三ヶ月も飲まず食わずで生きのびることができたんです」リ「信じられないわ」

医1「我々はこの妄想世界をジレッタと呼んでおります。彼が向こうの世界でそう説明するからです」

医達「「「ここはジレッタだと」」」

門「ジレッタ…」

 

背景のスクリーンに噴水のある公園が映し出されベンチが出てくる。医者たちが肩をぶつからせわちゃわちゃしながら山辺を隠して退場する。リエと門前はベンチに座る。

 

門「リエ…お前ならわかるな。俺が今何を考えているか」

リ「ジレッタね」

門「その通り。今度の仕事は芸能界なんかとはスケールが違う」

リ「でもあんなもの使っていったい何を?」

門「今度こそ世間をあっと言わせてやる。門前市郎、一世一代の大博打だ!」

 

【野望と現実のはざまで…】(門前リエ

 

世界中でテレビを見ない人間は

「いないわ」

今にテレビは空気になるよ

ラジオと同じ空気になるよ

「それで?」

マスメディアの王者は空席(立ち上がって一段降りる)

あくびが止まらぬ大衆の前にジレッタ降臨

 

世界中がジレッタを?(立ち上がって門前より一つ高いところにたつ)

聴診器が足りないわ

どうにかするさ

どうやって?

そいつは後で考える(リエから顔を反らす)

そこが一番重要よ

 

マスコミに革命を起こすんだ

必要なのはパートナー

闇の中 光を灯してくれた君(ひざまずいてリエに手をさしのべる)

 

条件があるの 簡単な条件よ(門前の手を掴む)

小百合チエと別れて(掴んだ手をきつく握る)

 

痛がる門前。リエに掴まれた手を離してリエから逃げるように離れる門前

 

ジレッタこそ本物のマジック(ごまかすように笑いながら)

全世界に約束しよう

退屈な現実から

君たちを開放するって

 

知ってるんだからあなたが彼女を(腕を組んで門前に詰め寄る)

囲ってるって

 

ジレッタは体験するメディア(またごまかして逃げる)

与えられる刺激じゃない

クレームは無視されない

誰もが主人公

 

水木金土飢えさせて

変身したら抱きに行くのよ

 

おお ジレッタ!それはまるで

ごまかさないで!

 

門「つまり何か?君ほどの女があの田舎娘に妬いてると?」

リ「認めるわ。あの小百合チエの方の顔にたまらないほど妬いてるの。いい?彼女と別れない限り私はあなたと組むつもりはない」

門「…わかった」(しぶしぶといった感じで頷く)

リ「ふん、言ったわね?」(満足げに笑うリエ)

門「きっちり別れてやるから、お前は俺のそばにいろ」

リ「今夜は楽しかったわ。またね」

 

足取り軽く公園をさるリエを見送る門前

 

門「勝ち誇ったような面しやがって!悪いがこっちは女の嫉妬に付き合ってる暇はない。まずは資金集めしないとな。使い切れないほどの金とえげつない功名心を持ったスポンサーを探すんだ!」

 

Mr.Yesmanのイントロが流れ出し客席の方から有木社長(竹中直人)と太鼓を持った男の太鼓持ち達と巾着をもった女の腰巾着達が現れる。そして客席を通ってステージへ。このときステージにいる門前は有木を見てにやりとした顔をしてあいつあいつみたいな感じで指をさしている。

 

有「アミーゴ!こんにちは!わたくし日本天然肥料社長、有木足と申します!」

太・腰「「ありきたり~!」」

有「有木!足!」

太・腰「「ありきたり~!」」

有「日本天然肥料」

太・腰「「日本天然肥料!」」

有「略して、にってんひ!」

太・腰「「社長~!!」」

太・腰「「さんはい!」」

 

のリズムで歌い始める。門前はステージ上手の端に立ち有木たちを不敵な笑みで見つめている

 

【Mr.Yesman】(有木門前、アンサンブル)

 

Hey! Mr.Yesman! (Oh.I am a Yesman.)

Hey! Mr.Yesman! (Oh.I am a Yesman.)

以下のうち、該当するものに丸をつけなさい

  1. わたしを尊敬している
  2. わたしが羨ましい (Yes!)
  3. わたしが妬ましい (Yes!)
  4. わたしになりたい (Yes!)

 

鳴らせ 鳴らせ 太鼓を鳴らせ

鳴らせ 鳴らせ 太鼓を鳴らせ

振れ 振れ 巾着を振れ

振れ 振れ 巾着を振れ

長者番付ランクアップ

わたしは歴史に名を残したい

 

有木を乗せるように拍手をしながら門前がステージに出てくる

 

「ちょうどいいのが現れた」

殺し文句は『先駆者』『草分け』『パイオニア

 

またステージ端に戻る

 

Hey! Mr.Yesman! (Yes Yes Yes Yes Yes.)

Hey! Mr.Yesman! (Yes Yes Yes Yes Yes!. )

以下のうち、該当するものに丸をつけなさい

  1. わたしが自慢だ (Yes!)
  2. わたしが理想だ (Yes!)
  3. わたしが目標だ (Yes!)
  4. わたしになりたい (Yes!)

 

叩け 叩け 太鼓を叩け

叩け 叩け 太鼓を叩け

回せ 回せ 巾着回せ

回せ 回せ 巾着回せ

貧乏人は近寄るな

著名人に囲まれていたい

 

チリトテ チリチン テレツク テレテン

チリトテ チリチン テレツク テン

チリトテ チリチン テレツク テレテン

チリトテ チリチン テレツク テン

 

太・巾「Yes! Yes!Yes!Yes!Yes!…」

 

去っていく太鼓持ちと腰巾着の代わりに鉄柱と山辺が現れる。有木社長は聴診器をつけた状態で山辺の前に座る。門前が有木社長に近づき聴診器を外す。

 

門「有木社長」

有「うわなんかすっげーテンションあがっちゃった…あれ?一体私は…」

門「これがジレッタでーす」(大阪公演からはふざけた言い方になる)

有「今の感じのいい連中がいた世界がか?!」

門「お気に召していただけましたか?」

有「君!これは大当たりするぞ!」立ち上がり門前を振り返る

門「お力添えいただけるなら、社長がジレッタ界のパイオニアということに!」

有「わしが!パイオニア…!」

門「はい」

有「よし!やろう!」門前の手を取る

門「社長~!」握り返す門前

有「私を男にしてくれ!門前くん!」

門「それはこちらのセリフですよ!」

 

抱き合う二人。割とここはアドリブ(主に竹中さん)な会話で下ネタ的なのが多い。

そこに騒がしく入ってくるチエ

 

チ「うわああああおんちゃ…いやあああああああ!」山辺に駆け寄る

門「お前どうしてここに?!」

チ「いやああああああ」門前を無視して山辺の前に座り込む

門「お前ちょっと待つんだ!」

チ「うわああああやああああ」山辺を揺らそうとする

門「死ぬぞー!」チエの方に手のひらを差し出し止める

チ「死ぬぅ?!」

門「下手に動かせば死ぬ。彼は今生死の境をさまよってんだ」

チ「どうして~!」

有「ちょっと待て!ジレッタの大元は死にかけてるのか?」

門「あっ、社長違うんですこれはあの、なんていいますか、」

有「そんな将来性のかけらもない事業に協力はできんぞ!」

チ「事業…?一体どういうことよこのおやじ!」有木に向かって吠えるチエ

有「おやじぃ?!」チエに近づく

門「おやじはだめですね」(千秋楽のみ?)有木とチエの間に立って有木をなだめる

有「貴様!」

門「社長!」

有「門前くん!」

門「はい!」

有「今すぐこの美女を紹介したまえ」

門「それはまた改めてしますから…!ちょっとこちらに」

 

そういって社長をチエと反対側に押しやってからチエに近づく門前

 

門「リエか…お前にこの場所を教えたのはあの女だな!」チエに詰め寄る

チ「どうしておんちゃんがこんなことに…!」門前の言葉を無視し問い詰める

門「それは…あー、どうやら事故にあったらしい!」目を泳がせ言い訳を考える門前

チ「事故?!」

門「しかし悲しむのはまだ早い。彼はいつも心の中で君のことを思ってるんだよ」

チ「どうして先生にそんなことが!」

門「証拠を見せよう。これを彼の胸にあててごらん」聴診器をチエに渡す

チ「先生…いくら私がバカだからってこんなもんでおんちゃんの気持ちが見えないことくらい…!」

有「言われたとおりになさい。後で私がワイハーに連れていってあ・げ・る・か・ら!」

チ「見ず知らずのおやじとハワイなんざ行きたかないわよ!」

門「つべこべ言わずにさっさとやれ!」

チ「命令ばっかり…ワンマン社長の下のタレントはみじめだわ」

 

不満そうに言いながらもしぶしぶ言われたとおりにするチエ。すぐにジレッタの世界へ入った様子が見受けられる。それを確認した門前とチエに近づく有木社長。

 

門「ジレッタに入ったようです」

有「一体彼女は何者なんだ?!」チエの隣に座り顔を覗き込む

門「まぁ…自分のことを山辺のフィアンセだと思っている頭のおかしな女です」

有「この薄汚い男がフィアンセだと?!羨ましい男だな!」山辺の鼻をつかむ

門「実際はそうでもありませんよ」

山辺を掴んだ手を見て汚ね!くさ!とか色々言ってる有木社長。このへんアドリブ

有「どういう意味だねそれは」

門「…そんなことより社長の会社、日天肥は来る万博の会場にパビリオンを出展する予定がおありだとか?」

有「さよう!わが社日本天然肥料は世界中のトイレが一同にかいするトイレ館を建設するのだ!」(大阪では建設するんや~のアドリブ)トイレに座るモーション

門「ぇえ?トイレ館?」馬鹿にした感じで腹を抑えて笑いながら

有「え?笑った?」振り返る

門「ああ!いや、トイレ館も魅力的ですがここはひとつ、ジレッタで勝負してみては!」

有「ジレッタ館か!」

門「その通り…!」

 

そう言ってからチエに近づき聴診器をとる門前。

 

チ「あれ?私…」

門「俺が言ってたことはうそじゃなかっただろう」

チ「不思議な場所でおんちゃんが私に言ってくれました!俺が愛するのは君だけだ、腹いっぱい食べるといいって!」

門「おい、本当にそんなこと言ったのか?」

 

門前とチエが会話してるよこでハロージレッタのイントロに合わせてくるくるまわってる有木社長

 

有「よし決めた!トイレ館は撤回!世界の注目を浴びる万博でジレッタお披露目と行こうじゃないか!」

門「社長~!」

チ「ジレッタってなんですか?さっきおんちゃんもおんなじことを…」

門「チエ、お前の彼氏はとんでもない才能の持ち主だったぞ!これからこいつは…いや彼は!前代未聞の大成功を収めるんだ!はっはっはっは」

 

フードを被った人達(アンサンブル)が出てきてステージの端にたつ。真ん中にたった門前が不敵な笑みを浮かべる

 

【ハロー、ジレッタ】(門前チエ有木山辺門&チ門&有門&チ&有、アンサンブル)

ハロー ジレッタ

「ハロー ジレッタ 港区地下生まれ虚構の神」

ハロー ジレッタ

「ハロー ジレッタ 現実を覆う虚構のカーテン」

 

今ならわかる あれもこれも きみと出会うためだったんだ

さあ楽しもう 俺ときみで世界中を騙すんだ

俺ときみで ジレッタ

 

お礼を言わせてジレッタ 生活のめどが立ちそうよ(門前はチエの肩をやったな!という風に抱く)

 

持ち上げておくれジレッタ 松下幸之助の上に(門前は有木に拍手を送る)

 

行くなジレッタ ごちゃまぜになったボツのアイデア(倒れていた山辺が立ち上がり門前たちの前に出てくる)

行くなジレッタ 俺が育んだ個人的妄想

ひとり占めはよくねぇな

 

山辺を押しやる門前。このとき持ってた聴診器を山辺に渡す。はける山辺

有木、門前、チエの順で並んで歌い出す三人

 

ハロー ジレッタ

「東京発・しあわせ着」のエキスプレス

ハロー ジレッタ 前人未踏の脳内魔境

 

今ならわかる テレビもラジオも 映画も漫画も文学も

きみの前座さ ジレッタ

 

世界中が 狂喜乱舞 大喝采 ジレッタ

どこにも行くな ジレッタ! 俺のジレッタ ジレッタ

 

再び山辺が現れるがフードを被った人々に連れていかれる

山「おいやめろ!おい!門前!」

 

世界中を俺ときみで騙すんだ ジレッタ

世界が俺たちの前にひざまずく

世界を手玉に… ジレッタ!

 

客背に気向かって手を伸ばしジレッタと歌い上げる門前。そこに金のヒラヒラが舞ってきて曲の終わりと主に一幕の幕が閉じる。

 

二幕につづく